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Column

Image Works in Yasudacho, Kochi 安田町オフィス

2014/04/14

True Storiesはじめての高知

初めて高知を訪れた私の4日間は、つらい旅となりました。オフィス開設と町の皆様の期待、そして、リーダーとしての責務が重くのしかかり、山や海さえもが迫ってくる息苦しさをおぼえ、「おまえになにができる?何も出来ないなら帰れ」と言われているよう。

このプロジェクトで得られる映画社にとっての価値と高知県東部の価値と社会的な価値、それらが三方良しになるミラクルソリューションはないのか...そんな理屈に囚われ、目の前にある圧倒的な美しさが自分の感性に響かない...最悪です。

そんな精神衰弱状態におぼろげな答えが見えて来たのは、帰京後しばらくしてから。

Talking Heads “ City of Dreams ” を聞きながら想う ― 地域をおこすのではない、と。

私が訪れた高知県東部には手つかずの美しい自然があり、町の人々の暮らしには昔から受け継がれる文化が残っていました。いま映画社が出来ることは、その美しさを、感性を持って切り取ること、ただそれだけです。そして、町の皆さんには、そんな夢の町に住んでいるということを示したい。そしてそれが高知県東部の価値になるなら幸いです。


切り取った映像財産がどんな拡がりをみせるのかはこれからの物語で、映画社の社員それぞれが作る物語となります。企業である私たちは、この感性価値を事業化していかなくてはなりません。当然みな、悩み、もがくことでしょう。しかしその”もがき”は、今後の企画営業で必ず活きてくるはずであり、このプロジェクトにおける映画社にとっての価値であると考えます。

もうひとつ、このプロジェクトにはさらに先のビジョンがあります。

「Image Works Village」の名の下、安田町に映像村を作ることを目指します。今後のシェアオフィスの受け入れは映像関連会社を優先にし、映像スタジオを旧中山小中学校の中に計画しています。子供達は安田町にいながらにして映像制作に身近に触れられます。中山保育所に移転後は庭の遊具を補修し子供達に開放することも検討しています。その中から将来、映像を目指す子が現れてくれたら嬉しい限りですね。外で学んだらまた、ここに帰ってくればいい。映画社が続く限り安田町オフィスはそこにあるのですから。


高知市から室戸岬まで、高知県東部を巡った4日間の旅は、結局、自分の内側への旅となりました。私の高知の旅はまだまだ続きます。


“City of Dreams”はTalking Headsのアルバム「True Stories」に収録された一曲です。David Byrne監督・主演の映画「True Stories」はアメリカの片田舎に暮らす人々を、尖ったユーモラスで描いた作品です。映画評は、石橋のCINEMA! にて後ほど。

オフィス開設初日の朝=安田町オフィスからの眺め=
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