2013年度は一度も試合に出場しなかった白戸選手。しかし、「自分の思い通りにならないことがほとんど、9割」というゴルフへの思いに広がりが生まれた。
「ゴルフが好きって言えるところまでに来るには、相当年数がかかりました。ゴルフが好きって言える自分になるまでは。辞めたいとは思っていなかったけど、好きって言える自分じゃなかったから。それが、好きかもって思えたのは、最近なのかなって思ってて…」
試合に出場して、勝利することだけが目標ではない。ゴルフとの向き合い方にも、ゆるやかな変化が感じられるようになった。
「自分を許すというか、そういう時間を持てるようになりました。今まではご飯を食べていて、その時間を楽しむようにしたこともあるけど、そうすることでスイッチが切り替わっているかというと、切り替わっていない自分がいたから… ゴルフとは関わりつつも、そこに何かつながるもので、自分が何か楽しいと思えることを見つけようとしている感じですよね」
アマチュアプレーヤーに自分自身から積極的にレッスンを提案するようなったのも具体的な変化のひとつ。
「(企業の接待としてではなく)自分から発信して、『ご指導、私できますよ』って、言ってやるっていうのは2013年に入ってから。アマチュアの方に、自分がゴルフでやってきたをレッスンとして提供できて、私が指導したことで、その人のゴルフが良くなってくれたらいいというところで」
「競技者としてのゴルフ」ではなく、「自分のゴルフ」として極めたいという部分も意識されるようになってきた。
「この歳だから、これができなくなったっていうんじゃなくて、この歳でも何かできることがあるって思ってて。年を重ねることで、筋力とか体力とかなくなってくるんだけども、そこに対して、余計なことも排除できる。しなやかさや柔軟性は、ある程度体ってトレーニングすると応えてくれるから、そこに対して『あ、まだこういう自分ができるんだな』っていうことを最近、見つけ出してる。目指しているスウィングがあるんです。そのスウィングを練習することで、まだまだできる自分がいるっていう… 伸びしろじゃないけど、可能性が多少あるの。そういうものを練習して、できたときってうれしいって、単純に」
(続く)
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