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Column

Professional Golfer:Yuka Shiroto 白戸由香

2017/05/18

Meeting a Professional Athlete - Interview with Yuka Shiroto vol.11プロアスリートに聞く - 白戸由香選手インタビュー vol.11

『LPGAレジェンズツアー』にて優勝を決めた白戸由香選手

 2016年度LPGAレジェンズツアー最終戦を優勝で飾った白戸由香選手。ツアー最終戦『グリーンアカデミーカップ』(10月5日~10月6日、福島県白河市のグリーンアカデミーカントリークラブ 白河コース) の大会最終日、レジェンズツアー3勝を誇る白戸選手は、レギュラツアーで2勝している斉藤裕子選手と通算3アンダーで並び、プレーオフに。白戸選手にとっては初めてとなるプレーオフを制し、『グリーンアカデミーカップ』初代女王に輝いた。



 有終の美の陰で


 ツアー最終戦で栄冠に輝いたものの、白戸選手の2016年は決して順風満帆なシーズンではなかった。昨年参戦した4試合のうちの初戦、2015年に優勝を決めている『LPGAチャンピオンシップ アイザックカップ』で起こった番狂わせ。


 「ディフェンディングチャンピオンとして臨んで、自分でも考えていなかったけど、まさかの予選落ちをしたんです。そこから始まって、調子がずっとよくなくて… 優勝する前が『アリナミンVカップ』という試合で、そこで2位に入ったんです。その時に、自分で上向きに感じるポイントがいくつかあって、こうしたら勝てるんだな、という感覚をつかんでのぞんだのが『グリーンアカデミーカップ』だったんです」


 他のプレーヤーの存在が、これまでになく、意識されたシーズンでもあった。その一人が、プレーオフの相手だった斉藤裕子選手。そして、もうひとり、『グリーンアカデミーカップ』で、レジェンズツアー完全制覇を狙っていた鬼澤信子選手だ。


 「鬼澤信子さんは、同い年だけどもレギュラーにも出場していて、今年もそうだけど、レギュラーとステップ・アップ、シニアと3つ全部でプレーしているわけです。この年になると、それだけやっていることの大変さを知るので、シニアツアーで3試合連続優勝、同い年で現役、ということで、意識してしまったんですね。斎藤裕子さんも同じような立ち位置で、鬼澤さんとツアーで戦ってる」


 レギュラーでの勝利をめざしているわけではない。シニアで勝つこと自体、白戸選手にとっては大きなチャレンジだが、レギュラーにも出場している同世代の選手たちと、「どこまで対等にやれるのか」という思いは否定できなかった。


 「やっぱり私は、シニアに幅が狭まってしまった。そこしか戦う場所を持たないという選択をした中で、まだレギュラーで戦うというモチベーションや体力的なもの、そこに向かっていく、そしてそこで結果を残せているということが、すごいなと思って。シニアで勝てても…という気持ちが自分の中にあるんです」


 シニアとレギュラーでは、あらゆる面で求められるレベルが異なってくる。メンタル、フィジカルな力はもちろん、プロゴルフ界を牽引する選手の低年齢化の傾向も影響する。


 「距離的にも試合日数も、シニアは無理をしなくてもいい。なので、レギュラーに出場するための精神力、体力、そういうものをすべて割り引いたのがシニア、というか、レベルを含めて、負担が少ない。だって今、レギュラーを引っ張っているのが20代前半の選手なわけですよ。気後れではないけれど、気持ちが、腰が引けてしまう。40台そこそこの選手が、ステップ・アップというレギュラーの次にある試合に出ていいのかと思ってしまう、って言うんです。そう思ってしまうのも、20代の勢いがあって、そこに自分の居場所がないと感じてしまうから。だから、そういうコメントが出てしまうのだと思うんですよ」



新たなるチャレンジ


 「そんな去年で、でも勝てたということがすごくうれしかった」と語る白戸選手。今季は、シニアの枠を超える、新たな挑戦への決意を固めた。6月16日から18日まで、袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コースで開催される『ニチレイレディス』への出場だ。


 「『ニチレイレディス』にスーパー推薦をもらったんです。ニチレイの社長さんとゴルフさせていただく機会があったのですが、私がお願いしたわけではなくて、スポンサー枠というのがあるんです。主催者が出したい人を出せる推薦枠で、そこに特別推薦をしたので出ませんか、というオファーを受けて、すごく迷ったんですよ。1試合なんだけど、でも、すごく大きなことだから。レギュラーなんて、4、5年離れているから、それこそ準備が…と思って。心構えもそうだし。でも、これもひとつのチャレンジだから、受けようと思って、出場するんです。そうなるとそこに意識が向くから。レジェンズツアーって6000ヤードないわけ。大体5700から5800ヤード。レギュラーだと6500ヤード前後だから、全然違うんですよ。セカンドで持つクラブも違う。常に同じ距離で練習はしていても、グリーンの締り具合だったり、ラフの長さだったりというのも変わってくるんですね」


 全身全霊で勝利を狙いにいくわけではない。「距離に対応できる道具選び」を入念に進めながら、「今の自分が持ってる実力を出し切ったら、レギュラーでもいけるのかどうか」、その感触を確かめるチャレンジとなる。


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