logo

Column

Professional Golfer:Yuka Shiroto 白戸由香

2014/01/29

Meeting a Professional Athlete - Interview with Yuka Shiroto vol.5プロアスリートに聞く - 白戸由香選手インタビュー vol.5

 実業団のソフトボール部を引退し、プロのゴルファーを目指すようになった白戸由香選手。研修生として筑波カントリークラブでゴルフ場の業務を手伝いながら、練習を重ねる日々が始まる。朝7時前に出勤し、ゴルフ場で来客対応。お客様のバッグをバッグ置き場に運んだり、練習場でボールを出したりする。キャディさんが足らないときは、コースのハーフをキャディとして回り、他の研修生と交替する。そして残りの半日、自由時間は練習にあてる。


 「ゴルフ場にいれば無料で練習できるけど、夜はライトとかの設備がないから、ご飯食べたあとに、夜までやっているナイターの練習場に行くわけですよ。10時くらいまでボールを打つみたいな… 今じゃ考えられない(笑) 体力は自信があったんですよ。体力と、ソフトボールをやっているときは、休まずできたっていう気持ちもありますよね」


 気力と体力でハードなトレーニングをこなしながら、目指すはプロゴルファーとして認定されるためのプロテスト突破。ご存知の方も多いだろうが、日本女子プロゴルフ協会によるこのテストは、一日試験を受けて終わりというタイプからはほど遠い。


 「プロテストは年に1回あって、プロテストの前にプロテストを受ける予選のようなものがあって、そこで平均スコアを出すんです。で、平均スコアの上位何名かがプロテストを受けられる。これは全国で行われているから、カットされる人数が決まっていて、テストも年に1回。それは2回で通ったのかな。だからそこは2年かかってる」


 予選をクリアし、最終プロテストを受験する資格を得た白戸選手だったが、「プロテストに受かるレベルではなかった」という。当時のプロテストは現在とシステムが異なり、1会場で3日間プレーし、一定のスコアをクリアすれば合格となった。白戸選手にとって、まずそのスコアが大きな難関だった。


 「プロテスト受かるにはスコアが76平均、1日4つオーバーくらいしかできないっていうのがあって、それまでの自分の実力が70台後半。78、79、70台が出始めた頃だったから、受かるとは思っていなかったんです」


 さらにゴルフ場で3日間連続してプレーするということ自体、まったく経験がなかった。


 「研修生だからプレー代ってかかるわけですよ。1日プレーして多少安くなっても1日1万円は最低かかるから、3日間3万円となると、そのときの負担としては大きい。それに研修生の立場で、1日は有給で練習しにいくことができても、3日は休むことができなかった。だから自分の中でも、3日間プレーしたらどうなるんだろうって…」


 さまざまな面から判断して、決して楽観視できる状態ではなかった。それでも3日間を乗り切り、プロテストを1回でクリアする。最後の瞬間まで、精神力が勝負の世界だ。


 「これを入れたらプロテスト合格っていう最後のパットのラインに、『うわーぁ』って思いますよね。でも、考えても動かなかったらだめだから、もう入れる、入れるって思って。決まったときはうれしかったですね」


 1993年、白戸選手を含め12名がプロテストを通過する。もちろんプロテスト合格はゴールではなく、白戸選手のチャレンジは続く。



(続く)


 

 

Back